【長編】Sweet Dentist
「なっ…。なにすんのよぉ!クシャクシャになっちゃうじゃない」

「お?正気に戻ったか。あんまりイイ男だからって俺に見とれてるんじゃねぇぞ」

「なっ…何を言ってるのよ。自惚れないで。いつもと感じが違うからビックリしただけじゃない」

「ふう…ん。そう言う事にしておいてやるよ。とりあえず車に乗れよ。さっきから視線が痛くて逃げ出したかったんだぞ」

そう言われてみれば、あたし達は下校する学生の注目を集めている。

特に女の子の視線を釘付けにしている響先生はとても居心地が悪そうだ。

「ホントね。明日色々聞かれちゃいそう」

クラスメイトが横目で意味ありげな視線を送りながら、軽く手をあげて通り過ぎるのを見て小さく溜息を付く。



響先生が本当に彼だったら何を聞かれてもいいんだろうけどね。




響先生がさりげなく肩を抱いて車へとエスコートするようにあたしを促がした。

まるで催眠術にでもかかったように先生から視線を逸らせなくなる。



切なくて…



うれしいのに泣き出してしまいそうで…




思いが溢れて言葉に出してしまいそうになる。




「響先生、あたし…」



…あなたが好きです。





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