【長編】Sweet Dentist
「あんた誰だよ。千茉莉を何処へ連れて行こうって言うんだ?」
先に静寂を破ったのは、この間千茉莉とキスをしていた奴だった。
『行かせたくない』
湧き上がってくるその想いに、肩を抱く手に思わず力が入ったのを千茉莉は感じていただろうか。
「君には悪いけどちょっと千茉莉を借りるよ。今日は約束があるんでね」
出来るだけ温厚な仮面をつけて千茉莉を車へとエスコートしようとしたが、案の定あいつはそんなに甘くは無かった。
「何を勝手なこと言っているんだよ。千茉莉は俺の彼女なんだ。あんたにそんな事言う権利はねぇよ」
『俺の彼女なんだよ』その言葉にぞわっと鳥肌が立つような不快感が背中から首元へと駆け抜けた。
嫌な感じだ。
…こいつ気に入らねぇな。
「権利ね。確かに俺にはそんなこと言う権利は無いよな。だけどおまえにも千茉莉を束縛する権利なんて無い。千茉莉が俺と行くのを嫌がっているんだったら話は別だが…。でも違うだろ?」
俺は冷たい射抜くような視線で奴を見た。
あいつも俺を睨み返すようにして見つめ返してくる。
もう『君』なんて格好付けた話し方をするだけの余裕なんてなかった。
嫉妬だって言われても構わない。
こいつは俺の気持ちに気付いているようだ。
だったら本気で俺に向かってくるだろう。
…逃げる事はできそうにねぇな。
先に静寂を破ったのは、この間千茉莉とキスをしていた奴だった。
『行かせたくない』
湧き上がってくるその想いに、肩を抱く手に思わず力が入ったのを千茉莉は感じていただろうか。
「君には悪いけどちょっと千茉莉を借りるよ。今日は約束があるんでね」
出来るだけ温厚な仮面をつけて千茉莉を車へとエスコートしようとしたが、案の定あいつはそんなに甘くは無かった。
「何を勝手なこと言っているんだよ。千茉莉は俺の彼女なんだ。あんたにそんな事言う権利はねぇよ」
『俺の彼女なんだよ』その言葉にぞわっと鳥肌が立つような不快感が背中から首元へと駆け抜けた。
嫌な感じだ。
…こいつ気に入らねぇな。
「権利ね。確かに俺にはそんなこと言う権利は無いよな。だけどおまえにも千茉莉を束縛する権利なんて無い。千茉莉が俺と行くのを嫌がっているんだったら話は別だが…。でも違うだろ?」
俺は冷たい射抜くような視線で奴を見た。
あいつも俺を睨み返すようにして見つめ返してくる。
もう『君』なんて格好付けた話し方をするだけの余裕なんてなかった。
嫉妬だって言われても構わない。
こいつは俺の気持ちに気付いているようだ。
だったら本気で俺に向かってくるだろう。
…逃げる事はできそうにねぇな。