初恋~俺が幸せにしてみせる~
『また来て下さいね』

またその優しい眼差し

これ以上見ていたら
抱きしめてしまう
かもしれないと思った

花を受け取った時に
触れそうになる手

触れないように
意識していた

その手はきっと暖かい

優しい暖かさ

触れてしまったら
俺は握りしめてしまう

そんなのは許されない

花に囲まれて
まるで別世界に見えた

気持ちまで優しく
なるようだった

通りを走る車の音も
聞こえないくらい

店から出ると、急に
現実に引き戻される

『ありがとう
ございました』

最後まで俺に笑顔を
向けていてくれた

俺は軽く会釈をして
店を出た
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