初恋~俺が幸せにしてみせる~
俺を必要なのか?

何か救いを求めて
いるのか?

わからないよ

しばらく女心なんて
無視していたから

千穂が消えたあの時から

俺は女心などは
ないものだと思っていた

麻美の手を握って
俺は歩き出した

麻美が握り返すその手は少し冷たかった

その手はしっかりと
俺の手を握っていた

強く握り締めた手は
俺を悩ませた

そしてお互いに口数が
減っていた

どうした…

何を言いたい…

どうして欲しい…

どんな風に言葉を
かければいいのか
わからなくなっていた

まるで魔法にかかった
ような感覚

気付くと大通りに
出ていた

タクシーを拾って
麻美を乗せよう

そう思った

繋いだ左手をそのままにタクシーに向かって
右手を挙げた

止まったタクシーに
麻美を乗せて
自分は乗らない
つもりでいた

乗ってしまったら
何か考えが嫌な方向に
向いてしまいそう
だったから

俺は繋いだ手を緩めた

自然に離れるように

それを受け入れて
タクシーに乗って
走り去る事を思った
< 126 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop