初恋~俺が幸せにしてみせる~
俺が緩めた手を
麻美はギュッと握った

『一緒に帰って』

優しい瞳に吸い込まれる

『でも…』

言いかけた俺を
麻美はグッと引っ張る

『お願い』

それ以上断る理由が
見つけられなかった

手を握ったまま
タクシーに乗った

麻美は運転手に
自分の家であろう
場所を頼んだ

タクシーは夜の街を
走り出した

流れるネオンを窓から
見つめる麻美は
俺の手をギュッと
握ったままだった

何か抱えてそうな顔は
俺に千穂を思い出させた

タクシーの中では
無情にも明るい音楽が
流れていた

麻美…何を考えてる?

ただ酔っている
だけなのか?

俺の酔いはすっかり
覚めているってのに

どうしたらいい?
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