初恋~俺が幸せにしてみせる~
どれくらい走ったのか

こんなに走ったのは
久しぶりだった

陸上部だったけど
もう30間近にした
オヤジにはキツい
距離だった

息を切らしながら
麻美の部屋の前に立つ

深く呼吸をする

―ピンポーン―

俺の人差し指は
震えていた

少し待っても
物音一つしない

―ピンポーン―







―ピンポーン―

我慢しきれずに
ドアノブに手をかける

ガチャガチャ

ドアに鍵はかかったまま

俺はドアの前に
座り込んでしまった

外ではしゃいでいる
子供の声が、ずいぶんと遠くに聞こえた
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