初恋~俺が幸せにしてみせる~
どこに行けば会える?

どこに行けば
抱きしめられる?

もう俺には
会いたくないのか?

本当に逃げたのか?

逃げたなんて
考えたくない

まだ俺は麻美を
信じていた

そんな事するような
女じゃないって

信じていた

俺はゆっくり歩いて
部屋に戻りながら
そんな事を考えていた

冷静になろうと
部屋でコーヒーを飲む

お揃いのマグカップが
やけに虚しかった

何も食べずに麻美を
探し続けていた
俺の胃は、コーヒーが
染み込んでいくのが
よくわかった

辺りが暗くなり始めて
俺はまた部屋を出た

向かったのは麻美が
働いてるキャバクラ

もう最後の手段だった

ここに麻美が
いなかったら…

もう探す宛てはない




麻美と一度会って以来
この店には来てなかった

避けていた

俺以外の男の隣で
楽しく酒を飲む、麻美の姿を見たくなかったから

今日はその姿を
望んでいた

そこに居てくれれば
それでいいって思えた

なのに…

そこにも麻美の姿は
なかった

花屋を辞めたのと同じ
1ヶ月前に辞めていた

俺は酒も飲まずに
店を出た

もう探せない

もう疲れた

最後の望みをかけて
携帯を開く





また聞こえる機械音

苛立ちと悔しさと
虚しさと切なさ

一気にこみ上げてくる

都会の真ん中に
1人置き去りにされた
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