初恋~俺が幸せにしてみせる~
麻美を信じていた俺

情けないくらいに
麻美に惚れていた

たくさん抱き合って
キスをして

全部が嘘だと知ったけど俺が愛したのは
事実だったんだ

中年の男の刑事が
立ち上がり
『確認して下さい』
と俺に後をついて
くるように促した

案内された部屋からは
窓みたいなのを挟んで
テーブルと椅子

3分ほど待っていると
窓の向こうの部屋に
麻美が入ってきた

俺が知っている麻美と
別人じゃないかと
思ってしまうほど
麻美の顔が強張っていた

でも間違いなく麻美だ

向こうの部屋からは
俺の姿は見えない

手を伸ばして、窓に
すがりつきたいと
思ってしまった

麻美…

『間違いありません』

俺はそれだけを呟いた
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