初恋~俺が幸せにしてみせる~
☆★33★☆
聴取は続いた

聞かれた事には
素直に答えていた

だけど俺には全く
覇気がなかった

辛くて、切なくて
消えてしまいたかった

答えているうちに
どんどん自分が
情けなくなっていく

騙されて当然だと
自分で思った

まるで自分が
犯人かとも思えるような大きなため息も出た

『そう落ち込むな』

その言葉も、俺には
重くのしかかった

聴取を終えて
手続きも済ませて
外に出た時には
もう辺りは暗かった

部屋に戻って
冷蔵庫から缶ビールを
出して蓋を開けて
乾いた喉に流し込んだ

身体中に染み込む

タバコに火をつけて
ソファーに座って
また色々考えた

麻美の顔が離れない

切なそうな瞳

少し痩せたように見える

なぜ俺を騙したんだ

俺に目をつけたのは
どうしてなんだ?

俺を騙していて
面白かったか?

愛してるって
言ってくれたじゃないか

嘘が上手すぎるよ

あんな優しい笑顔で
俺を騙していたなんて

お前を愛した事を
こんなにも後悔して
しまうなんて

思ってもみなかった
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