初恋~俺が幸せにしてみせる~
仕事中はそこにだけ
神経を集中させる

私情は挟まない

そう決めていた

麻美との事で俺は
成長していたんだ

また一息つくまでは

今日はなぜか胸騒ぎが
おさまらないままだった

なぜだろう

複雑な気分になる

無性にタバコが
吸いたくなる

いつもは大丈夫なのに

今日に限ってなぜだろう

俺の足は喫煙室に
向かっていた

何かに導かれるように
喫煙室の扉を開けた

タバコのむせるような
匂いが俺を包む

カチッ…

フー…

少しだけ落ち着いた

そう思ったのに
次の瞬間また俺の心臓がけたたましい音を
打ち鳴らし始める

喫煙室からは外の
駐車場を見る事が出来る

そこには千穂の姿

車に向かって歩く
千穂の姿が俺の目に
映っていた

顔色までは見えないが
間違いなく千穂だった

今日帰ったら
電話してみよう

そう思ってもう一息
吸い込んだ時だった

自分の目を疑う

まさか…

何だよ…

どういう事なんだよ…

飛び込んできた映像は
俺の気持ちを揺らがせた
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