初恋~俺が幸せにしてみせる~
その日、自分から千穂に連絡をする事は
出来なかった

もちろん千穂からの
連絡はないままだった

何度も携帯をチェックし何の変哲もない待受に
ため息がこぼれた

そして目の前には
今日見た光景が
浮かんでは消えていった

千穂がまた、あの男と
離れられない愛に
溺れてしまったら…

まさか、ありえない

そんな事あるはずがない

だけど確実に無いとは
言い切れない

何度も離れようとして
離れられなかった
2人なんだから

その再会が運命ならば
俺の居場所はもう無い

その運命の現場を
俺が見てしまったのも
運命なのだろうか

ソファーに寝転び
分厚い医学書を開き
ボーっと考えていた

医学書はパラパラと
めくられてはいくが
読んではいなかった

いや、読めなかった

頭が混乱していて
パニックにも似ていた

俺はこのまま頭が
おかしくなってしまう
かもしれないと言う
可能性にさえ怯えていた
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