初恋~俺が幸せにしてみせる~
時計はあっという間に
夜中の12時を回った

鳴らない携帯電話を
見つめるのも疲れた

どれほど医学書に
集中しようとしても
全く頭に入らない

意識は全て千穂の事に
向けられてしまう

どうしてしまったのか

俺の頭はやっぱり
狂ってしまったのか

千穂は俺の女じゃない

俺のものじゃない

手を伸ばしても
届かないかもしれない

もっと早く、無理やり
自分のものにしてしまうべきだったんじゃないか

今からではもう
手遅れなのだろうか

どんなに考えても
答えは出ない

だけど、何となく
襲いかかる不安は
俺の中では確信になる

考えれば考えるほど
確信だけが大きくなる

どうやっても眠る事は
出来そうにもない

俺は半分無意識で
部屋を出て、タクシーを拾って乗り込んでいた

適当な所で降りて
歩き始める

フラフラと歩いて
風俗の店へと入る

女は俺に愛想笑いをし
近付いてくる

風俗は本番はさせない

そんなの表向きだけだ

どこの店だってやらせる

俺はその女を抱いた

どこの誰かも知らない
その女を乱暴に抱いた

ただ自分の欲求を
満たすだけの為に
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