初恋~俺が幸せにしてみせる~
俺の前に現れた女性は
とても綺麗で、俺には
勿体ないくらいだった

堅苦しい形は取らずに
軽く食事程度の
顔合わせをした

上品に振る舞う彼女は
時々俺に微笑みを向けた

造り笑いをして返した

盛り上がっているのは
周りだけに見えた

バカバカしい

主役は俺たちなのに

互いの下手な自慢話と
下手な誉め言葉

こうなる事は、最初からわかりきっていた

それでも、それが
嫌でたまらなかった

俺の向かいに座る彼女は俺と同じ思いを
してるかのように見えた

なぜだろう

それはわからないけど
気持ちを共有している
ような感じがした

俺は立ち上がり
うるさい話を中断させて2人で話をしたいとだけ言い残して、彼女と
一緒に席を外した

視線が痛く突き刺さる
ような感じを無視した

そして2人で外の
雑踏に紛れ込んだ
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