初恋~俺が幸せにしてみせる~
2人のコーヒーが冷めて残り一口になっていた

『これからどうする?』

俺の言葉をかき消す
ように美晴の携帯が
振動し始めた

『父からだわ。
ちょっとごめんなさい』

美晴は立ち上がり
足早に外に出て行った

これからどうする
なんて聞いたけど
初対面の俺たちには
何をすればいいのか
検討さえついてなかった

まさか初対面で
抱くわけにもいかねーな

そんな事を考えて
タバコに火を点けた

美晴がため息と一緒に
戻ってきた

『もう帰らなくちゃ』

その言葉に、この後の
行き先さえ思いつかない俺は、少し安心した

『何か言われた?』

『そうじゃないけど
父がお酒を飲み過ぎて
しまったみたいで…。
普段あまり飲まない
もんだから』

『そうか。俺も一緒に
戻った方がいい?』

『いいの。もう家に
戻ったみたいだから』

『じゃあ、俺も家に
戻る事にするよ』

美晴は少し残念そうな
表情を見せながら

『また会ってくれる?』

と聞いた

『もちろんだよ』

俺の言葉に、とびきりの笑顔を見せた美晴と
連絡先を交換し合った

通りまで出てタクシーを拾って美晴を見送った

美晴は振り返って
手を振って帰っていった
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