初恋~俺が幸せにしてみせる~
俺が浴室から出ると
美晴はビールを片手に
テレビを見つめていた

冷蔵庫からビールを
取り出して、美晴の
隣に座った

テレビはよくわからない洋画が流れていた

流し込むビールは
苦くて不味いと思った

美晴はテレビを見つめて俺は美晴を見つめた

美晴は俺の顔さえ
見ようともしなかった

『ねぇ、大介』

『ん?』

視線をテレビに
向けたまま、美晴が
そっと囁いた

『大介は何を求めて
私を抱いてくれたの?』

美晴の急な問いかけに
戸惑っていた

何を求めて?

どういう意味だ?

俺は美晴を求めて
いただけだったのに

美晴は違ったって
いうのだろうか

『美晴は何を求めた?』

俺の答えが出なくて
逆に美晴に質問をした

美晴がようやく俺の方をむき直した

そしてゆっくりと
俺の目を見た

その目は涙でキラキラと輝いているように見えた

少しだけ間をおいて
美晴が口を開いた
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