初恋~俺が幸せにしてみせる~
なんとなくだけれど
千穂と北川さんの絆が
見えたような気がした

残させる千穂はとても
辛いかもしれないけど
千穂を残す北川さんも
とても辛いんだと思う

だからこそ言えなくて
悩んでいるんだろう

俺がそんな事を理解して俺まで悩んでいるなんて今は2人は知らない

だけど、すぐにわかってしまう事なはずだ

千穂がいきなり呼ばれて北川さんに言われるより俺から話しておいて
少しでも千穂の傷を
分散出来るのならば
俺から千穂に話そう

千穂の事は愛してる

だけど千穂が悲しみに
明け暮れる姿を見るのは想像がつく姿だったし
それを支えるのは
自分なんだと思えた

今は千穂を支える事が
俺の役割なんだと思う

もう少しだけ自分の
感情は隠しておこう

今は2人の為に俺が
出来る事をしよう

流れる雑踏の中で
ささやかな決意を固めた

周りではしゃぐ若い
話し声や子供の泣き声
全てが自然に流れていてこの瞬間を生きていた

終わりそうな命を預かる俺の心の中の決意は
そんな周りの環境を
幸せな夢の世界だと
思わせていた
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