初恋~俺が幸せにしてみせる~
目の前にある冷めた
コーヒーを飲み干して
千穂にメールを打った

時間があるなら今日
会いたいという事だけ
簡単に打った

カフェを出て、本屋に
立ち寄って、コンビニでタバコを買っていた時
ようやく千穂からの
返信が届いた

うちにきてもいいよ
なんていつもの返信

違うのは俺の気持ちだけ

これから千穂に訪れる
悲しみを今は俺だけが
知っている事実だった

千穂に対する申し訳ない気持ちがこみ上げてくる

人の命を救えなくて
医者だなんて言っても
いいのだろうかなんて
情けない気持ちになる

千穂に指定されたその
時間までに、部屋に戻りどう話そうか考えた

考えれば考えるほど
頭は回転しなかった

結局は包み隠さず全てを素直に話すしかないと
いう結果にたどり着く

オブラートに包んで
話したとしても、千穂の悲しみは減らせない

千穂にだからこそ
全てを話すしかない

そして俺がしっかりと
していなきゃダメなんだ

俺にしか千穂を守って
やれないはずだから

決意を決めて、千穂の
部屋へと向かっていた

もう後戻りは出来ない
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