初恋~俺が幸せにしてみせる~
初めて千穂が辛い思いをしていると知った時は
北川さんを憎んだ

殺してやりたいと思った事があるのも事実だった

なぜ千穂を泣かせるのか

千穂を傷付ける事しか
してやれないなんて
千穂を愛してる事には
ならないって思ってた

だけど、今こうして
北川さんと話してみて
わかった事があった

北川さんは本気で千穂を愛していたに違いない

愛していたけれど
それは他人が見れば
傷付けているようにしか見えなかっただけ

千穂は愛されている
自覚があったはずだ

『千穂と結婚なんか
しなくて良かった。
こんなに早く死ぬのに
千穂を妻としてこの世に遺して逝く事は絶対に
出来なかったから』

北川さんの気持ちが
痛いほど伝わってきた

『千穂が妻じゃないからちゃんと先生に任せて
死ぬ事が出来ます。
今までの私の行いへの
罰はとても大きかった
けれど、先生というその存在のおかげで、少しは
救われるようです』

覚悟が出来ているような口ぶりで北川さんは
俺に微笑みかけていた

俺は全ての誤解が解けて2人の強い気持ちを
知る事が出来た事に
感謝していた

この先千穂を幸せに
するのは俺なんだと
決意する事が出来た
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