初恋~俺が幸せにしてみせる~
それから千穂と2人
…気持ちでは北川さんと3人で酒を飲んでいた

そして北川さんと同じ
タバコを吸っていた

たくさんの事を話した

これまでの千穂と
北川さんの思い出を
たくさん聞いていた

幸せそうな2人が
俺の脳裏には浮かぶ

楽しい話には笑顔で
辛い思いをした話には
千穂は涙を流した

思い出がたくさんあって千穂は良かったと思う

北川さんが居なくなってどうなってしまうかと
心配していたものの
千穂は涙を流しながら
その思い出に浸る事が
出来ていた

俺は安心した

最後に看取ったのが
俺で、俺の目の前で
北川さんの奥さんの
辛さも見ていた俺は
複雑な気持ちだった

それでも自分はこれで
間違ってなんかないと
言い切れるはずだった

あとは千穂を幸せに
するという大事な約束を守るだけなんだと思う

千穂の中には北川さんがずっと居続ける事も
全部承知の上だった

それでも俺は千穂を
ずっと愛し続ける

何があっても愛して
守り続けていくんだ

俺も千穂もだいぶ
酒を飲み過ぎていた

ほどよく酔っ払って
千穂を支えながら
ベッドへと運んだ

そして千穂と2人で
一つのベッドで眠った

寄り添うように眠った

千穂も俺もそれに対して何の違和感もなかった

きっとお互いに1人に
なりたくなかったんだ

何かを考えてしまうから

俺は夢を見る事もなく
ぐっすりと千穂の
温もりの中で眠った
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