初恋~俺が幸せにしてみせる~
『もしかして、大介も
上手くいってるの?』

美晴は身を乗り出して
俺の目を見つめた

『今日自分の気持ち
ちゃんと伝えたよ』

『それで相手は?』

美晴はきっと幸せな
結果を求めていた

『何も言わなかったよ。だけど、俺の気持ちは
しっかり伝わったと
思ってる。色々あって
俺が素直に気持ちを
伝えられる状況じゃ
なかったから、これからゆっくり彼女を支えて
いきたいと思ってる』

『色々大変だったの?』

『ああ。詳しくは
話せないけど、彼女の
中で俺はまだ一番には
なれていないのかも
しれないから、まだまだ努力をしないと
いけないみたいだよ』

『大介の中で、彼女に
対する気持ちが一番ならきっと彼女にもそれが
伝わるはずだよ。
頑張って、大介!』

『美晴に負けないように頑張ってみるよ』

美晴はコーヒーを
飲みながら笑っていた

『親が、すごく反対で
納得させるまでに
時間がかかったけど
今は何とか許して
もらえたんだ。彼が
ミュージシャンって夢を追いかけ続けてるのが
どうしてもダメだって』

美晴はお嬢様育ちで
両親も堅そうに見えた

相手がまだ夢を追う
アーティストだとしたらそれは許さないだろうと想像する事が出来た

男としては、いつまでも夢を追いかけていて
少しうらやましかった

だけど俺は医者に
なる事が夢だったから
叶えた部類に入るだろう

『かけおちしようとか
散々悩んだんだけどね』

『さすがにそれだけは
出来なかったんだろ?』

『彼が許さなかったの』

筋の通っている男だ

きっとしっかりした
男なんだろうと思った
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