初恋~俺が幸せにしてみせる~
安い買い物ではなかった

だけど千穂の笑顔が
キラキラと輝いている
その姿だけが脳裏にある

この先も一緒に居たいと願いを込めて買った

こんな時くらい男らしくカッコ良く決めたい

少し高級そうな人気の
レストランを予約した

夜景が見渡せるビルの
最上階のレストラン

食事をして、そこで
渡せたら、男として
満点じゃないだろうか

俺の想像だけが膨らむ

もし、断られたら…

そんな最悪なケースも
容易に想像出来ていた

もしかしたらその方が
確率が高いかもしれない

私はダメだよ…

なんて、前にも聞いた
そんなセリフを、深く
悩みながら吐き出すの
かもしれないなんて
思ってしまうんだ

だけど後戻りはしない

自分の覚悟が揺らがないように婚約指輪を買ってレストランを予約した

自分をも、逃げられないそんな状況を作った

それでいいんだと
自分を肯定させていた

千穂に電話をかけて
食事に行こうと誘った

いつもの事だったから
千穂は快く受け入れた

違うのは俺の気持ち
だけだった

とても緊張していた
< 303 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop