初恋~俺が幸せにしてみせる~
千穂は戸惑っていた

指輪をただ見つめていた

『つけてあげる』

千穂の目を見る事さえ
出来ないでいた自分を
恥じながらも、千穂の
手に指輪をつけてあげた

俺の手は震えていた

自分の左手に、千穂の
左手を乗せた瞬間に
千穂の手も震えていた

緊張しているのは
俺だけじゃなかった

千穂の小刻みに震える
細くてしなやかな左手の薬指に、指輪を持つのも
ようやくなほどに
緊張していた俺の右手でゆっくりと指輪をはめた

予想で買ったサイズは
千穂の指にピッタリ と
フィットしたサイズだ

部屋の明かりがダイヤに反射してキラキラと
綺麗に輝いていた

さぁ、あと一息だ

その一言を言う時だ

今度こそちゃんと
決めなきゃいけない

『結婚して下さい』

ようやく言えた言葉

ずっと言いたくても
言えなかった言葉

千穂の瞳から涙が溢れた

そして…震える声で

『はい』

と返事をしてくれた

千穂の返事を聞いた瞬間全ての力が抜ける感じでようやく安心出来た

そして千穂に笑顔を
見せる事が出来ていた

『泣くなよぉ』

俺の言葉に、千穂も
笑ってくれていた

『本当に私でいいの?』

『千穂じゃなきゃ
ダメなんだよ』

『もう後戻り
出来ないんだよ』

『わかってるって』

そんな会話も幸せだった
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