初恋~俺が幸せにしてみせる~
千穂が最高の笑顔で
最高に綺麗でいられる
結婚式にしてあげたい

それが素直な気持ち

俺なんてどうでもいい

俺は千穂のすぐ傍に居てその笑顔を見るだけで
幸せになれるんだから

千穂が俺と一緒に居て
幸せって思ってくれたらそれでいいって思える

式場巡りの帰り道に
ケーキ屋の前を通った

そこの看板に書いていた

誕生日ケーキ賜ります

の大きな文字を見つけた

もうすぐ千穂の誕生日

俺は決めていた事がある

ずーっと決めていた事

その日、帰ってから
千穂に話を切り出した

『あのさ、千穂』

『ん?』

『入籍の日なんだけど』

千穂は俺の目の前に
あったグラスにビールを注いでくれていた

俺の言葉に動揺したのかグラスからビールの泡が溢れてしまっていた

『あ、えっ…ごめん』

そんな千穂が可愛かった

慌ててグラスの周りを
拭いている千穂の顔が
ほんのり赤くなっていた

『大介ったら、そんな事いきなり切り出すなんてビックリするじゃない』

『ごめん、ごめん。
そんなに動揺するなよ』

『してないよ!』

『してるって。明らかにドキッとしただろ?』

『大介のいじわるぅ』

そう言って笑い合った
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