初恋～俺が幸せにしてみせる～

二次会の段取りは全て
俺の仲間達が準備して
待っていてくれた

多少二次会まで時間が
あったのは俺だけだった

千穂は支度に時間が
かかった分、後にも
時間がかかるようだった

待合室で千穂を待つ

１人になって、ゆっくり考える事が出来た

本当に千穂と結婚出来た

みんなの前でちゃんと
結婚したんだと報告
する事が出来たんだ

まだ夢の中に居るような感覚だったものが
ようやく現実味を帯びる

小さい頃からずっと
夢にみていた事が今
現実になっているんだ

色んな思いをしてきた

俺が愛した女

俺は愛してもいないのに俺を愛してくれた女

何の感情もなかったのに体だけを重ね合った女

俺を騙し続けた女

騙された情けない俺

自分を悲観し、行く先を失って生きる意味さえ
わからなくなっていた俺

ずっと辛かったけれど
やっぱり千穂が居た

俺の中にはずっと

千穂の面影がいつも
どこかに居てくれた

俺の居場所があって
本当に良かった

俺より辛かった千穂を
絶対救って、幸せに
してみせるって思えた

北川さん…

見てくれてるよな？

俺たち間違ってなんか
ないんだよな？

北川さんとの約束を
ちゃんと果たすから

千穂を幸せにするから

北川さんの想いを全部
受け止めた上で、俺は
ちゃんと千穂の幸せを
責任持って果たすよ

それで納得してくれる
はずなんだよな？

窓の外の夕焼けに染まる桜の木をジッと見ながら北川さんの笑顔を
何となく思い出していた

それからすぐ千穂が来てバタバタと荷物を持ってタクシーに乗り込んだ