初恋~俺が幸せにしてみせる~
ようやく解放されたのは日付はとっくに翌日に
なってからの事だった

結婚式を挙げたホテルの最上階に部屋はある

ようやく一息つけた

『楽しかったね』

『ちょっと飲み過ぎた』

そんな会話を交わして
窓の外を眺めていた

綺麗な夜景から視線を
千穂にうつして驚いた

千穂は涙を流していた

千穂の涙に夜景の光が
反射してキラキラした

『千穂?』

千穂の肩を抱き寄せて
優しく頭を撫でた

『ごめん。私、大介と
こうしていられるのが
まだ夢みたいで…』

『何言ってるんだよ。
夢なんかじゃない。
俺たちはもう悩む必要もないんだよ。大丈夫』

千穂を抱き寄せる手に
ギュッと力を入れた

『わかってる。ちゃんとわかってるはずなの。
でもこんな私が
幸せになってもいいのか不安になってしまう』

『幸せになっちゃ
いけない人なんか
居ないよ。千穂も俺も
幸せにならなきゃ
いけないんだよ』

『私は最低な女なの。
大介も知ってるでしょ』

『俺は最低な女だなんて思ってないよ。
少しだけ神様が千穂に
意地悪をしただけだよ。千穂は間違ってなんか
いなかったんだ。
だから今度は、俺と
幸せになれって
神様が言ってくれてる』

『こんなにも幸せに
なってしまって
何もかもが狂って
しまいそうで、怖いの』

『千穂』

俺は真剣な眼差しで
千穂を見つめていた
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