初恋~俺が幸せにしてみせる~
『何か辛い事あった?』

千穂の顔が一瞬だけ
曇ったように見えた

でもすぐに千穂は
今は恋愛してないだけと俺の疑問を遠ざけた

俺はせっかく会えた
千穂との繋がりを
失いたくなかった

だけど強制はしたくない

だから紙に携帯の
番号とアドレスを
書いて渡した

連絡が来るかは千穂次第

千穂が嫌ならそれまで

会話が途切れてしまった

千穂は俺が渡した紙を
握ったまま黙り込んだ

何かを考えるように

俺は自分を
落ち着かせる為に
お茶を飲む

千穂が顔をあげて
俺の目を見ていた

『大介の初恋は私?』

いきなりの質問に
戸惑いを感じた

俺は千穂が好きだった

初めて好きになった
女だった
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