初恋~俺が幸せにしてみせる~
何も言わずに千穂を
抱いてしまった事を
謝ろうと思った

『ごめ…』

俺の言葉は千穂の
キスで遮られた

謝って欲しく
なかったのか?

何も言わせたく
なかったのか?

激しく愛し合ったのに
まだ体が火照っていた

千穂の傍から
離れたくなかった

千穂のぬくもりを
感じていたかった

何度もキスをした

服を着てからも
何度もキスをした

手を握り合って
色んな話をしていた

時間も忘れて

甘い時間を過ごした

千穂が時々見せる
悲しい笑顔が
俺の気を引いた

でもそれには触れない

誰にでも
触れられたくない
過去はあるはずだから

千穂も過去を
背負って生きている
はずだから

千穂を抱いた後に
俺は人を体でも
愛する事を思い出した

欲望のままに抱くより
愛を捧げる方がいい

その愛に答えてくれる
人がいるのなら

それなら愛のない
セックスは無駄だ

基本的な事を俺は
無くしかけていた

千穂を抱いた事で
大切な事に気付いた

ありがとう、千穂
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