初恋~俺が幸せにしてみせる~
目の前に現れた千穂は
ちっとも変わらなかった

優しい笑顔のまま

俺たちはお互いの進路を報告し合った

千穂は地元で就職を
決めていた

自立して益々離れて
いってしまう気がした

親のすねをかじって
大学へ行く俺とは違って千穂はちゃんと親への
負担も考えていた

取り残された気分だった

それなのに千穂は
何度も俺にすごいねと
言ってくれた

すごいのは千穂なのに

俺は情けなかった

もちろんバイトを
しようとは考えていた

俺だけの千穂で
いて欲しい

その言葉を
言えなくなった

自立している女が
俺みたいなのを相手に
するわけがない

しかも遠距離恋愛に
なってしまうから

俺には千穂を幸せに
出来ないんだ
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