【短編】Kiss Me…
あなたの声が胸に染み込んでくる。

血を噴き出していた心に空いた大きな穴が英輝の声に癒され、代わりに愛しい気持ちで埋められていくのを感じる。

「もう我慢しない。キスしたいときにキスするし、抱きしめたい時に抱きしめる。もう誰にも渡さないから。」

「英輝…。大好き。」

温かい唇が頬の涙を吸い取り、そのまま優しく頬に、額にとキスを落とされた。

「いつ何処でキスしても、絶対に嫌だ何て言わせないからな。」

親指でじらすようにあたしの唇をなぞりながらそう言うと、熱っぽい目であたしを覗き込む。
英輝はもう目を逸らしたりはしなかった。想いを伝えるように真っ直ぐにあたしを見つめてくる。

あたしはその言葉に応えるように静かに瞳を閉じた。


優しく重なる唇は、柔らかくて

啄むように触れる想いが愛しくて

抱きしめる腕がどんどん強くなっていくのと比例するように、求めあう唇が深く熱く絡められてゆく。


与えるように

奪うように

求めるように何度も何度もキスを交わす。


封印してきた想いを捧げる様に

すれ違ってきた気持ちを伝え合う様に

強く引き寄せ何度も想いを伝えあった






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