猫と少女と少年と
「ここが私の病室よ」


殺風景な真っ白い部屋。

窓辺の花瓶に花が何輪かいけてあるだけで、他にはこれといって何もない。

「ここのドアで部屋とベランダを行き来できるからね。猫ちゃんにはベランダで暮らしてもらうけど、部屋に入りたかったり、私に用事のある時は窓を叩いてくれればいいよ。あ、でも他の患者さんの部屋には入っちゃダメだからね」


《よかった。お前と一緒なら安心して暮らせそうだ・・・》
そんなことを少女に優しく穏やかな鳴き声でつたえた。





俺は、この少女に一目惚れしてしまったみたいだ。
おかしな話だよな。猫が人間に恋をするなんて。
でも、この少女の優しさと温もりと柔らかい笑顔を知ってしまえば、必ず何か気持ちが芽生えてくるに違いない。

それが、たとえ猫だとしても。



でも、この少女、なんで入院なんか?入院してるのに、なぜわざわざこんな天気でこんな時間の時に外なんかにいたんだろうか? 






《なぁ、なんで入院なんかしてるんだ?》

俺は鳴いてきいてみた。





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