隣で。
家に帰り携帯を開く。

「原田…比呂…」

名前を見るだけであの笑顔が思い出される。

ふつ-にかっこよかったなあ…。

「真帆-?夕飯の手伝いしなさ-いっ」

一階からお姉ちゃんの声が響く。

「は…はあい!!」

階段を降りてキッチンに行く。

「お姉ちゃん,朝番お疲れさまで~すっ」

「ほんと疲れたあ…。だから今日は早く寝て途中から夜番行く-」

にんじんを剥いているお姉ちゃんの横顔は,疲労とゆう言葉がぴったりだった。

お姉ちゃんはナ-スになってまだ半年。

だから朝番と夜番の回数がベテランに比べて多いのだ。

「大変だね-」

「うん。でも,やっぱ好きな仕事ができるあたしは幸せだと思う」

その誇らしげな笑顔は,あたしの大好きなものだった。

「そっか…。さて,あたしは何をすればいい?」

「今日はハヤシライスだから,じゃがいもと玉ねぎの皮剥いて」

「分かったあ♪」

じゃがいもの皮を剥いていると

「ねえ真帆,今好きな人とかいるのっ?」

「は!!?」

驚いてじゃがいもを落としてしまった。

「・・・図星?笑」

「違う!!でも・・・今まで恋とかしてないから,よく分かんない」

ほんとにそう。

今まで誰かを特別に想った事とか,異性を目の前にして緊張した事なんか無かった。

だから,どんな気持ちが{恋}と呼べるものか分からない。

「分かんないって事は,今気になってる人がいるって事だ?」

「えっ…」

気になってる人?

どうしてだろう…さっきから{原田 比呂}の顔しか出てこない。

あたし…もしかして……?







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