今日も眠る貴方へ、
その痛みは寝たらなくなっていた。すぐになくなるなんて嘘みたい。

更に嘘みたいな話。私を此処から出してくれるらしいの。

私をこの場所から出してくれるように、って会社の人達が工面してくれた。


「今、奏の傍にいられるのは揺可(ゆりか)ちゃんだけだ」


私を迎えに来てくれた古池(ふるいけ)さん。

“犯罪者”という言葉を背負った私なんかがいても良いの?

傍にいられるのは嬉しい。でもそれだけが心に引っ掛かったの。


「罪を犯したのは許し難い事。でも、あいつの家族は君だけなんだから」


付け加えて“家族が傍にいる事が1番の薬。君にしか出来ない事”と。

不安がる私に古池さんはそう言ってくれた。それでも心の霧は晴れない。

それでもね、私は時間を変えようとした事を後悔はしてないよ?

貴方の苦しむ姿を見なくて済むのならばね。



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