今日も眠る貴方へ、
「私、本当に傍にいて良いの?帰りも待てないんだよ?」


貴方が帰れない事を苦しんでいると知ってから、会いに行けていない。

それは貴方の帰りを待つのではなくて、貴方に会いに行くのが怖かったから。

目が覚めた時、“お前は何も分かっていない”って言われそうで。


「怒るけれど傍にいる事は望むだろ。と言うか、またあいつを苦しめていない?」

「そう……だね……」


まだ怖いけれど、貴方が笑って“ただいま”と言う。

私はその言葉を待たなければならない。貴方が死んでしまうその日まで。

あの時“神様”がくれた胸の痛みが、何となく何の物なのか分かった気がする。

今日もあの事件と同じように、天気は晴れ。何だか嫌だ。

貴方の為に泣くのは後1回にしよう。涙が枯れてしまうから。
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