女子高生はオオカミ男。
一体何……?

いきなりの歓声に戸惑う私。

それを尻目に騒ぐ女子。

というかホント、何?

「あっ、あそこ空いてますよ」

甲高くない落ち着いた声があたりに響く。

誰だろう……少なくともクラスの女子ではない。

聞こえてきた声を頼りに辺りを見回す。

「あーじゃあ、高瀬の隣で。ちょうど余ってたんだ、良かったな」

余って…………?

おい笹岡、何を抜かす。私は断じて余り物ではないっ!

そう思って壇上を見れば。

澄んだ灰色の目とばっちりあった。

ゲッ……狼っ!?

と内心叫び声をあげたけど、よくよく見れば長い黒髪。

ヤツは普通の短髪だから人違いだろう。

そもそも女子部に男子が入れるはずがない。

「彼女は少し遅れての転入となったが、皆仲良くするように」

冷静になって考えてみれば矛盾点がいくつも見つかって、胸をなでおろす。

あー、びっくりした。

歓喜の声もこの人が原因か。

艶やかな黒髪。

澄んだ灰色の瞳。

滑らかな白い肌。

どれをとってもそこらのモデルに引けをとらない出来映えだった。

まるで神様が丹精込めて創りだした人形のよう。

人間離れしてる……。

食い入るようにして見つめると彼女は私の隣の席に座ってかすかに微笑んだ。

そこでまた歓声が上がる。

まるで王子さまみたいな反応だな…………。

呆れながら見やっていたら、

「よろしく、えっと……」

美貌の少女に挨拶された。

慌てて自己紹介をする。

「あ、私、高瀬 優貴といいます。初めまして」

まさか相手の名前を訊くわけにはいかない。

きっと転入生ということで名前を紹介したはずだし。

上の空だったことがばれるのはよろしくない。

突然、頭を高速でめぐらす私の腕を転入生は掴んだ。

そしてそのまま引き寄せて…………。



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