女子高生はオオカミ男。
くどお…………?
聞きなれない音に首を傾げていると、狼がご親切にも耳打ちしてくれた。
「俺の名字だよ、ボケ」
……罵声つきで。
何かもじもじしているクラスメイトの女子。
確か西城(サイジョウ)さん…………だっけか。
一体こっちに来てまで何のようだろう。
西城さんは少し逡巡してから意を決したように口を開いた。
「あのっ……!」
「はい」
丁寧に返事しているように聞こえるが、顔が見えるこっちからしてみればひどく面倒臭げだ。
「えっと…………あの、久遠さんって久遠 狼様の身内の方ですかっ?」
へーこいつって久遠なんて立派な名字を持ってるのかぁ。
じゃなくって!!
「さまっ!?」
狼『様』ですか!様つきですか!!そんな偉いんですか、あんた!
大声で変なこと(私からしてみればすごくまっとうな)を口走ったおかげで、クラスの皆様方に要らん注目を浴びる羽目になった私。
「ほんとにバカだなーお前。ホントにここ、受かったの?」
耳朶に触れるか触れないかの近さで哂う狼。
ええ、受かりましたとも。バカですけどねっ!
腹立ち紛れに心の中で罵詈雑言。
っていうかあんた、近すぎなんだよっ。
男だとバレるかバレないか以前にこんなに近くで囁く必要性がまったく感じられないんですけどっ!
心の中でブリザードが吹き荒れる私を無視して、狼と西城さんの会話は着々と進んでいく。
「えっ、じゃあ久遠さんって狼様の妹さんなんですか?」
「そういうことになりますね」
本人だよ。
あっ、そうだ!
良いことを思いついた私はすくっと立ち上がって深く息を吸い込んだ。
聞きなれない音に首を傾げていると、狼がご親切にも耳打ちしてくれた。
「俺の名字だよ、ボケ」
……罵声つきで。
何かもじもじしているクラスメイトの女子。
確か西城(サイジョウ)さん…………だっけか。
一体こっちに来てまで何のようだろう。
西城さんは少し逡巡してから意を決したように口を開いた。
「あのっ……!」
「はい」
丁寧に返事しているように聞こえるが、顔が見えるこっちからしてみればひどく面倒臭げだ。
「えっと…………あの、久遠さんって久遠 狼様の身内の方ですかっ?」
へーこいつって久遠なんて立派な名字を持ってるのかぁ。
じゃなくって!!
「さまっ!?」
狼『様』ですか!様つきですか!!そんな偉いんですか、あんた!
大声で変なこと(私からしてみればすごくまっとうな)を口走ったおかげで、クラスの皆様方に要らん注目を浴びる羽目になった私。
「ほんとにバカだなーお前。ホントにここ、受かったの?」
耳朶に触れるか触れないかの近さで哂う狼。
ええ、受かりましたとも。バカですけどねっ!
腹立ち紛れに心の中で罵詈雑言。
っていうかあんた、近すぎなんだよっ。
男だとバレるかバレないか以前にこんなに近くで囁く必要性がまったく感じられないんですけどっ!
心の中でブリザードが吹き荒れる私を無視して、狼と西城さんの会話は着々と進んでいく。
「えっ、じゃあ久遠さんって狼様の妹さんなんですか?」
「そういうことになりますね」
本人だよ。
あっ、そうだ!
良いことを思いついた私はすくっと立ち上がって深く息を吸い込んだ。