女子高生はオオカミ男。
「誤解ですっ!こいつの名前は……フゴッ!?」

ここでバラせばいいじゃん!ヤツは狼だってこと!!

と、思ったのに。

「大丈夫?熱があるみたいだけど…………?」

言い終らないうちに諸悪の根源に口を塞がれた。

「んー!んぅー!!」

何しやがる!

反抗をこめて睨むと、狼はクスリと微笑んで、言った。

「その目、そそられるけど……今は我慢しようか」

欲情するなっ!このケダモノ!!

って、目が笑ってないんですけど!?

背筋が粟立つ私をよそに欲情したオオカミは続ける。

こつり、と私の額に自分のそれをくっつけた。

灰色の目が、私の身体を捕らえて離さない。

教室がまたもざわつく。

金縛りにあったように私は動けなくなってしまっていた。

「ひとつ忠告してやるけどな、入学したてで退学したくないならおとなしくいうことを聞いてたほうが身のためだぜ?」

…………は?

退学って……どういうこと!?

私が頭がパニック状態をいいことに狼は私の手を引っ張って教室を抜ける。

「ちょっ、何して……」

何してんのよ!という私の抗議は

「黙っとけ」

という狼のお願いという名の命令で掻き消えた。

「高瀬さん、熱っぽいようだから保健室に連れて行きますので。……西城さん、でしたっけ?先生にご報告よろしくお願いしますね」

その声が、死の宣告に聞こえた。


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