女子高生はオオカミ男。
「またやってるのか、狼」

ボサボサの髪。くたびれた白衣。藍がかった眼。

ヤバイ、保健教師……!?

慌てる私を一瞥してから、突然の闖入者は狼と会話を始めた。

「お前、女を連れ込むのはいいが、肝心の授業をサボるなよ」

「群青(グンジョウ)には関係ねえし」

「ま、そうなんだが」

おいおいおい。

何納得しちゃってんの、先生。

保健だからってサボり黙認していいのか!?

や、そもそもなんでサボってんのにこんな堂々としてるわけ?

おかしいとかいう以前の問題だよね?

しかも連れ込むのはいいとか…………全世界の女の子に謝れよ、ついでに私にも。

「にしても……」

ちらりと私を横目で眺める保健の先生こと全世界の女の敵。

「お前がこんな堅そうなのが好みだとは意外だった」

「は」

はぃぃ!?

「そーゆう奴を落とすのがいいんじゃん」

…………。

よくないよくない、よろしくないですええまったく!

「でも見たことないな……ああ、もしかして高校からの?」

「そ」

いや、そこ、私が答えるとこだから。

「もう落としたのか」

「楽勝」

え、なんか話の流れからして私、狼に落とされたっていう設定なんですか?

しかも確定ですか。本人の了承なしですか。

「ちょっ、待て待て待て」

人を無視して話を進めるなよ、あんたら。

「え?」

「ああ?」

何、その『何で話しに割り込んでんのこいつ』みたいな声。

日本国憲法には基本的人権の尊重と明記されてあるぞ。

そして私は人間。

誤解は解くためにある!










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