女子高生はオオカミ男。
「えーじゃあ、自己紹介改め……」
「いらねーよ、んなもん」

 一通り鬱憤が晴れたのか、ようやく怒涛の悪口合戦を終えた群青先生は私に向き直ってきた。

 心なしか胸を張って自己紹介………といきたいとこだけれど、そこは狼の出番。あっさりと出鼻をくじかれてます。

 なんなんだ、これ。

 なんなんだ、これ。

 なんかこっち来てから疲労が溜まるなぁ、ストレスなんだけど。え、私ってそんなに軟弱だっけーみたいな。

 こういうときは。

「おい、ちょっと何、シカト?」

 やっぱ戦略的逃亡だよ。それしかないよ。もーなんか疲れるし。

 とっととちゃっちゃとさっさと逃げようとした私の腕を掴んだのはまたしても、ヤツ。

 なんかほんとにデジャウ。同じこと前にもあったよねぇ。なんか退学するのも悪くないかも。

 つらつら考えながらまた狼に引きずられる私。慣れって恐ろしい。

 ほう、と群青先生こと不良教師がいささか目を見張る。

「こいつぁ、珍しい」

 言い回しがヤクザですよ、センセ。最近はPTAも厳しいんだから口には気をつけないと。ああ、私立だからいいのか?そうなのか?だから狼の暴挙も許されるのか?それって職務濫用なのでは?

 心の中で顔も忘れた(狼のお祖父さんなんだから顔は良いんだろう、世の中って不公平)理事長に問いかける。もちろん、答えはない。なんかこれじゃあ、私、イタイ人みたい。

 なんか泣きたいなぁ……。

 というか、泣いても許されるんじゃない?
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