女子高生はオオカミ男。
「ねぇ……あんたら」

「あ?」

こめかみが引きつるのを何とか鋼の精神で抑えながら、なにやら訳のわかんない討論をしている二人に呼びかける。

そして久々のスマイル。

「いい加減、ウザいんだけど?」

うわあ、なんかすごい開放感。やっぱ我慢は良くないよね、うん。

「……」

「…………」

「どうしたの、二人とも?」

この数時間で溜まった心労を一言で吐き出した私はもうご機嫌だ。今ならキスされようがパシられようが一発殴るだけで許せそう。

「あー……俺、そろそろ男子部行かなきゃ」

なんかこそこそと帰り支度を始める三崎先生。保健医ってそんなに頻繁に出入りするもんなんだ。大変だね。

と、狼に言ったら

「ああ……あいつも熱心なんだろ、うん。そうだよな」

え、なんでそんなに目逸らされてんの私。

「狼…………俺、お前と初めて心が一つになった気がする」

先生、そこはかとなく、というかあからさまに気持ち悪い発言しないでください。PTAどころの騒ぎじゃないですよ。

「ま、じゃあ高瀬っていったか?こいつのことよろしく。狼、お前も頑張れよ」

「おい、逃げんなっ!俺一人でこいつどうしろって」

待て待て待て。

なんだ、この意味深な発言は。まるで私が放射線廃棄物みたいじゃないか。

そんな私の心を無視して三崎先生は「じゃーなー」と素早く出て行ってしまった。

 

 






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