女子高生はオオカミ男。
「え……と?」

突然の声に戸惑いながら振り向くと薄茶色の髪をした穏やかそうな男の子と、赤みがかった髪を長く伸ばしている私より背の低い男の子がいた。

「あ、の…………?」

どうしたらよいかわからずに首を傾げると、薄茶のほうが申し訳なさそうに口を開いた。

「ああ、ごめんね。ここに女の子なんて珍しいものだから」

まあ、確かに……。

「それで?」

「はあ…………」

気の強そうな赤のほうが尋ねてくる。だけど何を訊いているのかまったくわからない。

困って生返事をするとキッと睨みつけてきた。

え、何……。

「だからっ!なんか困ってんのかって訊いてんだよ!!」

あっ、そういうこと。

「ごめんね、ホント。悪い子じゃないんだけど……」

「あ、いえ……」

心配そうにこっち見てる人が悪いわけないじゃないですか。

今だってこっちをちらちら見てるのに。

「運ぼうか?」

「え?」

「それ、重たそうだし」

薄茶がそれ、と指し示したのは手に持ってる資料。もちろん有難いけど……

「でも、迷惑なんじゃ…………」

窺い見ると赤が怒ったように資料を奪っていったところだった。

「行くぞ」

ぶっきらぼうにずんずん歩いていく後姿がおかしくて、薄茶と二人で小さく笑った。




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