女子高生はオオカミ男。
ガラリと扉を開けた瞬間、

「ちょっと誰よ!やだ!!」

「は?」

ブラウスがはだけている女の先輩らしき人と、その人にのしかかっている誰か。

黒い前髪が顔にかかっていて良く見えなかったけれど、私を見つめる目が灰色だった。

「ここは誰も来ないって狼が言ったのに!最低!」

うわー修羅場?もしかして。

しかもよりにもよって『最低』。男としてこれほど情けない言葉はないでしょ。
まあ、いいか。

「お楽しみのとこ、すみませんけど資料運べって言いつけられてますので」

得意の営業用スマイル。

いまさらこんな場面に出くわしたって動揺しないぐらいの肝っ玉はある。

なんか叫んでる女の人は無視して、資料を黙々と片付ける。

「ええと、Bの12だから……。? 悠たちも入ってきなよ」

なんかこっち見て口を開けてる二人に誘いかける。

というかずっと資料持ってて辛くないですか、お二人さん。

「もうほんとさいってい!!」
 
『さいってい』って……。

『最低』よりもさらにランクアップしてますけど。

あ、そろそろ佳境。

ついでに私の資料も片付いた。あーすっきり。

「ほら、重くない?さっさと片付けようよ」

「いや、優貴…………それより後ろ……」

「え?」

問いかける間もなく肩に衝撃が来た。





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