女子高生はオオカミ男。
狼と書いてろうと読む。

そのこころは?

どっちにしろ、女の敵。

こっちを見ながら殺意丸出しの男、狼(ロウ)。

こんな視線に晒される覚えなんてまったくないんだけど。

「なあ、アンタ何したの?」

小声で尋ねてくる凪。

質問の意味がわからなくて頭を捻っていると

「こいつ、人の股間をおもいっきし蹴りあがってきやがった」

「相変わらず地獄耳だな…………」

「でも、お前も思い切ったことしたよなぁ。男の急所を蹴るなんて……」

はて、何のことでしょうか。

思い切ったもなにもそれが女の唯一の抵抗なんだし。

「はい」

「は?」

凪の止める声も聞かず灰色の目をした男の前にやってくる。

そして手のひらを差し出した。

「慰謝料」

「はああ?」

や、そんな声出されても。

「何で俺がそんなモン……」

「だってキスしたし」

「さっきので相殺だろうが!」

「いやいやいや。あれファーストだし」

なので料金は倍となる。これ、鉄則。

「お前、初めてのくせにリアクション薄いな……」

「それは俺も同感」

「僕も」

知らねーよ、そんなこと。

「つーかやけに金にこだわるな…………」

「仕方ないじゃん。だって……」

「だって、何?」

「…………別に、何もない」

なんか最近、口を滑らせる機会が多いな……。

「だって、何だよ」

嘘を見透かすような灰色の瞳に射竦められて、私は何も言えなくなってしまった。
 


 


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