お姫様の秘密 †入学編†
窓から入る気力もなく、
堂々と玄関から家に入った。

家を出てからもう十時間はとうに経っている。
もう、完全に外泊だ。

床に足を踏み入れた瞬間、ひんやりとした空気が体を包みこんだ。


ギィィ…。


静かなせいだろう。
微かな音でさえも大きく部屋に響いてしまう。


「…ただいま」


床に座りうなだれる母からは返信はない。

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