危険なカラダ。


「俺、センセイのこと本気だよ」


「…冗談…やめてよ…アタシ達、まだ知り合って二日なのに…」

「二日じゃない。

俺は、ずっと前から、センセイのこと知ってた。」




……え?




「俺、3ヶ月前、聞いてたんだ。センセイ達の別れ話。
ちょうどその頃、バイトかけもちしてて…」


嘘…

あの店で、働いてたの?


「すぐに気づいたよ。高級レストランなのに、全然会話もしないカップルがいることに。厨房でも話題だった。なんであのカップルだけ重そうな雰囲気なんだろうって。他の客もカップルだらけでさ、みんな幸せそうな顔してるのに、明らかにセンセイ達の席だけ重い空気だった。」


あの会話、見られてたんだ。
…聞かれてたんだ。



あの夜はアタシの強がりな精一杯の演技だった。


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