素直になんかなれない
ショックとか、悲しいとか
多分、そんな言葉じゃ片付けられなかった。
まるで、体の半分がなくなったみたいに
感覚の全てが麻痺していて。
言うならば、思考が完全に停止してしまったのだ。
それからの俺は
壊れたおもちゃのように
とにかく笑って過ごしていた。
そうでもしなきゃ
立っている事ですらままならない程、抜け殻になってしまいそうで。
だけど、一人に戻ると
どうしてか、自分をコントロール出来なくなってしまう。
笑う事すら
考える事すら出来なくなって
そんな自分が嫌で、つい手を伸ばしてしまったタバコ。
全て、忘れてしまいたかった。
出来る事ならば
今すぐにでも、記憶を抹消してしまいたかった。
でも、そんな事
出来るわけもなく。
初めてのタバコは、苦くて
それが、余計俺を惨めにさせた。
そして、忘れる事すら諦めた俺に残されたのは
何とも言い難い、真っ暗な虚無感。
そんな曖昧な思考で考えるのは
案の定
寧々の事だけ、だった。