素直になんかなれない
シン、と静まった小さな公園で
俺の声は虚しく、そして弱々しく闇夜に消えてく。
しばらくの沈黙の後
俺の話を黙って聞いていた悠は、おもむろに立ち上がると
ブランコへと歩いて行き、背を向けたまま言った。
「お前は本当にバカだよな。」
2本目のタバコに火を点け、ちょっと笑いながら。
それが何だかバカにしてるように思えて
俺は眉を吊り上げ、聞き返す。
「何でだよ。」
俺は、間違ってなんかない。
寧々の事を想えば
こうするしかなかったんだ。
きっと、この別れは
寧々なりに考え、たくさん悩み抜いて出した事で。
そんな寧々が言うのだから
俺はそれに従うしかないだろ?
そう言った俺に
悠はくわえタバコでブランコに乗った。
背丈のある悠が乗ったそのブランコは
窮屈そうにキイ、と音を立て前後に揺れる。
そしてブランコに揺られたまま
タバコを吸う悠は、全てを悟ったかのような口調で口を開いた。
「女の言う事なんてな、半分が嘘みたいなモンなんだよ。」
「…は?」
「いや正確には、言ってる事のほとんどが、反対の事を言ってると思った方がいい。」
「何だよそれ、」
意味わかんねーよ、と続けると
悠は呆れたように俺に向かって言う。
「お前、そんなんじゃ奈雲の事、誰かに盗られんぞ。」