素直になんかなれない
思わずガバリ、と体を起こすと
ふっと笑い、悠は俺に視線を向けた。
「あーんな大事そうにしちゃってさ。」
体中が悲鳴をあげるように痛みを走らせる。
だけど、もはやそんな痛みさえ
今は気にならない。
「あとはお前次第だ。」
「…悠、」
視界が滲んでく。
それが、何の涙か俺はわかっていた。
「……っ、」
寧々、俺…
もう一度、伝えていいの?
あの時言えなかった気持ちを、届けられなかった想いを
君に、伝えても―――?
頭を垂れる俺に
悠は一度だけ俺の肩を叩くと
「奈雲の事、幸せに出来んの…昴、お前しかいねぇよ。」
そう言い残し、ウォレットチェーンを鳴らしながら
踵を返し俺の肩から手を離した。
静かな公園に、悠の足音が遠ざかってゆく。
俺はしばらく
その場から動けずに、溢れ出る涙を止められなくて。
込み上げる想いが
涙と一緒に零れ落ちてしまいそうだった。