素直になんかなれない
「あ、もしかして昴のその傷って悠くんがやったとかーっ!?」
人一倍デカイ声で話に割り込んで来たのは
他の誰でもない、美帆。
相変わらずアニメ声で、とにかく目立って仕方ない。
「…お前には関係ねーよ。」
だけど、俺は寧々に気付かれるのを恐れ
冷たく美帆を突き放してみた。
あれから、俺なりに
美帆と喋る事を極力避けてるつもり。
って言っても
美帆とは席が隣だし、全部を全部無視出来ないけれど
休み時間は席を離れ
男子たちと話す事を心掛けてる。
「えー、昴冷たぁい!」
それでも、美帆はしつこくつきまとってくるんだけど…。
「別に冷たくねーって!」
「冷たいよぉーっ!悠くんもそう思うでしょー?」
「え?あー、そう?」
適当にあしらった悠を横目に
顔を前に向けると
ふとぶつかった視線に、俺の胸が跳ね上がった。
…寧々が、俺たちを見ていたのだ。
だけどその目線は素早く前にへと向けられる。
その瞬間、痛む胸に
俺の口からこぼれる溜め息。
…マジで最悪だ。