素直になんかなれない


昴と別れたあの日から
あたしの毎日は、全ての色を失くしてしまって。

涙に彩られた日々に
毎晩想うのは、昴と過ごしていた月日だけだった。



…バカ、だよね。


自分から言ったくせに
別れてからのあたしは、付き合っていた頃よりも

昴の事、たくさん考えていたの。




…あたしがもっと

素直になれていたら―――。




昴を、傷つけずに
済んだのかもしれないのに。




夕暮れが二人の距離を縮めてく。


あたしは俯きながら
昴の制服の袖を引っ張った。



「ん?どうした?」


と、昴があたしの顔を覗き込む。




恥ずかしい、だけど。


あたしは
昴が好きだから。


今日よりも、明日。

明日よりも、明後日。



そうやって、昴を想っていたい。




「…手……繋ご、」






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