素直になんかなれない


繋がった手から
伝わる、昴の気持ち。

優しくて、あったかくて。



―――愛しくて。



時間が止まればいいのに、なんて

柄にもなく
乙女チックな事を、言ってしまいたくなる。





…ねぇ、昴。


もうワガママ言わない。

困らせたりしなから。



だから、お願い。

ずっと、あたしの傍にいてね。




口には出さずに
そっと、心の中で呟いてみた。



すると、急にあたしの手を引いた昴が
何やら興奮した様子で口を開く。


「寧々、見て!」

「何?」

「夕日が沈んでく!」


ほら、あそこ!と言われ
昴が指差した方向に視線を投げれば

あたしたちの立つ高台から見える山の奥に、ゆっくりと沈んでいくオレンジ色の太陽。



徐々に頭を隠した太陽に変わり
淡いピンクに染まった空へと、あたしは目を細めた。




涙が出そうな程、幻想的な景色に
心が奪われそう。






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